やせ細った赤ん坊たちの泣き声がこだまする。気温は40度を超え、顔にハエが止まっても、追い払う気力もない。

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 9月上旬、アフリカ北東部スーダンの港町ポートスーダン。国連世界食糧計画(WFP)の診療所に設けられた栄養センターに、栄養診断を受ける母子が集まった。1300人以上の母親とその子どもたちが通っている。

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栄養状態の検査のために、世界食糧計画(WFP)が運営する栄養センターを訪れた母子たち=2024年9月1日、ポートスーダン、中野智明氏撮影

 「自分はどうなってもいい。でも、この子だけは救いたいんです」。昨年4月に戦闘が始まった直後に生まれたアフメド・アミンちゃんを抱える母親のウィグダン・アラーさん(27)は、そう訴えた。戦闘が続く首都ハルツームから、1週間前に逃げてきた。

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